Power Shield (PS)

概要

SSDには書込むデータを一時的に保管するためのDRAMキャッシュを搭載している製品があります。これにより、データ処理の速度を上げ、パフォーマンスを向上させることができますが、DRAMキャッシュは電源が失われるとデータが保持できないため、一時保管したデータをNANDフラッシュに書き込む間、電源を供給し続ける必要があります。

適切なシャットダウンでは、ホストとSSD間でDRAMキャッシュに一時的に貯められているデータをNANDフラッシュに書き込むための処理が実行されます。


しかし、電源断が発生すると、ホストから書込みコマンドが発行されないため、転送中のデータはNANDフラッシュへの書込みを完了させることができなくなります。これにより、データの不整合や破損/消失が発生したり、SSDが正しく動作できなくなります。

電源断によるリスク

予期しない電源断が発生した場合、次のようなフローでデータ破損・消失が発生する可能性があります。


PSとは

PSは電源断時にNANDフラッシュに保存されているデータを保護するための仕組みで、トランセンドの組込み向けSSDに搭載されています。コントローラ内部の電圧検出回路が外部電源を監視し、その電圧が5Vから4V (動作電圧が5VのSSDの場合)または3.3Vから2.7V (動作電圧が3.3VのSSDの場合)に低下すると、PSを作動させ、コントローラが新たな書込みコマンドの受け付けないようにし、NANDフラッシュのファームウェアとデータに損傷がないことを確認するために、書込み処理を停止します。

トランセンドのPLP & PS

トランセンドには、データ破損のリスクを抑え、データの整合性を確保するためのもう1つの技術としてPower Loss Protection (PLP)があり、厳しい環境下でも正しく作動するよう高品質の電圧検出器とタンタルコンデンサを使用しています。PSにはタンタルコンデンサは使用していませんが、電圧検出器がホストから供給される電源電圧を監視しています。電圧降下を感知すると、SSDコントローラはNANDフラッシュへの書き込みを停止し、NANDフラッシュに保存されているデータを保護します。但し、キャッシュに貯められたデータをNANDフラッシュへ書き込む時間はPLPほど長くありません。

PLP PS
ハードウェア 電圧検出器とタンタルコンデンサを利用し、4Vから2.3Vに降下するまでの間にDRAMキャッシュに貯まったデータをNANDフラッシュに書き込む。 電源電圧が特定のレベルまで低下すると、コントローラ内部の電圧検出回路がPSを作動させ、SSDコントローラがホストからの新たな書込みコマンドの受け付けを停止する。
ファームウェア PLPが作動すると、ファームウェアは自動でDRAMキャッシュのデータをNANDフラッシュへ書き込む。 SSDコントローラはホストからの新たな書込みコマンドの受け付けを停止し、NANDフラッシュに保存されているデータの整合性を確保する。
ソフトウェア トランセンドのScope Proソフトウェアで、SSDに使用されているタンタルコンデンサの容量を確認できる。 --

まとめ

PSは、トランセンドのSSDがデータアクセス中に電断が発生した場合のデバイス障害のリスクを低減し、データの整合性を確保します。Power Loss Protection (PLP)の詳細についてはこちらを参照ください。

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